Thursday, May 9, 2013

利用と参加への意欲調査を通した大学生が望む公園の享受形態に関する研究

森田 緑,武田 史朗
ランドスケープ研究 Vol.74 (2011) No.5


研究の背景
 近年,都市公園の財政面,担い手面での困難から,行政所有・民間管理型の公園も着目されており,その例として指定管理者制度や自主管理公園などが挙げられる.しかし,短期滞在型住民など,計画から維持管理までの長期的プロセスへの継続的参加が現実的でない住民も存在し,公園づくりの達成感自体をモチベーションの支えとする方法は,必ずしも万人向けのモデルとは言い切れない面もある.そこで,こうした既往の取り組みにおいて,利用型享受と参加型享受の二種類の享受形態をうまく受け入れる公園の計画と運営を考える事が一方で重要であると考える.ここでいう利用型享受とは,施設としての利用を楽しむこと,参加型享受とは,管理や運営などによる地域や場所への参加を通してその場を楽しむことと述べられている.

研究の目的
 地方都市の大学生を対象に,近隣の計画公園の将来像に対するアンケート調査による評価実験を行い,結果の解析によって大学生のという短期滞在型住民のニーズに対応し,かつ維持管理や運営に対する参加意欲を沸かせるような公園の方向性を考究すること,また定量的には,管理意欲やその理由を含めた大学生による仮定的な今後の望ましい公園像に関する客観的な検討材料とすることを目的とする.

対象地:滋賀県草津市に存する野路公園
対象者:立命館大学の学生

まとめ
 イベントを契機として,楽しく継続性の高い管理への参加を導く方法の有効性が示唆された.つまり,イベントを利用した継続的管理参加への導入という方法は,参加型享受に対する吸引力が高く,既往の住民参加の方法論と相通じ,短期滞在型住民の場合にも有効であるということである.また住民参加を重視する場合,あるべき公園のハード面における整備内容が,従来の公園像(グラウンドや芝生など)と異なる可能性が示唆された.
 本研究では,短期滞在型住民として大学生を対象として利用面と参加面でのニーズを調査したが,異なるタイプの住民の間で,二種類のニーズを相互補完する公園の姿を描くため,同地域における異なる住民タイプに対する調査と分析を行うことが今後の課題として示唆された.

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