2020.10.16 豊島
金沢市の金澤町家に対する支援制度を文献調査および担当課へのヒアリング調査により整理を行った。支援制度の種類は大きく分けて、改修補助制度、流通支援制度、情報拠点の3つがある。特に金沢市で独自に行われている支援制度について、概要と実績を整理して表に示す。
今回は、特に金沢市の金澤町家に対する改修補助の制度について、以下にまとめる。
全国でも行われている改修補助の制度としては、有形文化財修理復旧事業と伝統的建造物群保存地区保存整備事業の2つがあげられる。これらの制度の補助率や限度額は自治体によって異なるが、金沢市は比較的高い水準にある。高い水準の理由は、これらの事業が行われる以前から、後述する金沢市独自の補助事業が実施されており、その水準に合わせたという経緯がある。
金沢市独自の改修補助の制度として、①自主条例にもとづく指定保存建造物に対する補助事業である保存対象物保全事業、②にし茶屋街地区を対象とした茶屋街まちなみ修景事業、③こまちなみ保存修景事業、④金澤町家再生活用事業の4つがある。
①保存対象物保全事業は、市の自主条例によって景観上重要な建造物の外観保存を図る制度であり、1983年に発足している。補助率や限度額は高い水準にあるが、外観保存を目的としているため、内部の水回り等の改修は対象外である。②茶屋街まちなみ修景事業は1993年に発足した事業で、①と同様に内部の水回り等の改修は対象外である。③こまちなみ保存修景事業は、外観修復の補助が中心で、当初は水回り等について補助対象ではなかったが、近年は補助対象になるよう変更され、活用者の生活の利便性にも配慮した事業である。④金澤町家再生活用事業は、①から③の文化財行政の枠組みで行われている事業と異なり、広く残存する金澤町家について継承・活用するための施策として、2010年より開始されたもので、外部だけでなく内部や内装についても補助を行うため、より活用を意識した補助事業となっている。いずれの事業も比較的高い補助限度額を設定しているといえる。
2020.10.16
豊島祐樹
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